前話で蒔いた「屈折率」「理論上は可能です」を、今回はコメディとして全力で回収する
話です。シリアスな技術設定を下ネタ方向に転がすのは今までの作風からするとかなり攻めた
選択でしたが、レオンという常識人が一人いることで、笑いにする免罪符になると判断しました。
ナディアが両手で顔を覆いながら指の隙間から見ている、という描写は、彼女の好奇心と
羞恥心のせめぎ合いを言葉で説明せず、仕草だけで見せるために入れています。「見てません」の
タイミングがメリアと完全に揃う場面は、今回いちばん計算して書いた箇所です。息を合わせた
わけではないのに重なってしまう、というのが一番怪しく見える、というレオンの指摘を成立
させるために、台詞のタイミングそのものを作中の証拠にしています。
「人体は機能で決まります。大きさは関係ありません」は、メリアのフォローにならない
フォローとして書きました。れもんに「それ言っちゃうんだ」と内心で突っ込ませることで、
これがメリア本人の意図的な火消しではなく、素で状況を悪化させていることを示しています。
レオン一人だけが最後まで現実に踏みとどまり、納得できないまま終わる構成にしたのは、
三人の温度差をコメディの形でもう一度見せたかったからです。理解できないレオン、信じている
ナディア、関与していないメリア。この非対称な三角形は、シリアスな回でもコメディの回でも、
変わらず同じ形をしています。
次回公開
10月21日21:00
第5話 野営地にて


