第6話 リューヴェン村

リューヴェン村 キャラクター紹介

 これまでコメディと観察が中心だったレオンに、初めて過去を持たせる話です。
「リオ」という本当の名前を、本人には何も説明させず、院長の自然な呼びかけ
一つだけで差し込みました。驚きや動揺を大きく描かず、「動きが止まる。一瞬」
とだけ書いたのは、レオンというキャラクターが感情を表に出さないタイプだから
です。

 ナディアに「素敵な名前ですね」とだけ言わせて、それ以上踏み込ませなかったのは、
彼女の人物像を少し進めるための選択でもあります。好奇心旺盛な彼女が、ここでは
踏み込まない選択をする。この我慢ができる子だと示すことで、今後レオンとの距離が
縮まる布石にしています。

 今回いちばん慎重に書いたのは、メリアの「必要がありません」という返しです。
「彼が名乗っている名前はレオンです。それ以上を、私が知る必要はありません」という
台詞は、詮索しないという彼女の誠実さの形を、言葉で説明せず台詞そのものに
語らせるために置きました。れもんに「優しいね」「知りたい気持ちがないわけじゃない
でしょ」と補足させることで、この距離の取り方が無関心ではなく選択であることを、
読者にだけ伝えています。

 庭先での院長との会話は、あえて説明を最小限にしています。「メル」「籍が抹消された」
「位牌の一つも」――固有名詞と事実の断片だけを置いて、背景は語りません。レオンの過去に
何があったのか、ここでは輪郭だけを見せて、全体は明かさない。この村を再び訪れることが
あれば、少しずつ埋めていくつもりです。

 最後にメリアが黙ってカーテンを引く場面で締めたのは、彼女がその会話を見ていたという
事実だけを残し、何を思ったかは書かないためです。

次回公開

10月28日21:00
第7話 再び王都を目指す

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