第3話 既知の外側

既知の外側 世界観

 3回中2回目の返品です。前話がコメディの温度だったのに対して、今回はあえて感情を
抑えた研究者視点にしました。同じ「返品される」という結末でも、理由の質感を変えた
かったからです。

 この研究者を名前で呼ばず、セラフィンとの対比だけで性格を描いたのは、魔法学会編で
出した「観測と理論」という軸を、スピンオフ側でも一度なぞりたかったからです。
「観測屋だ」とセラフィンを見下す一言だけで、彼がどちら側の思想を持っているかが
伝わるようにしています。

 杖の異常を淡々と測定し、波形が歪むところまでは正確に記録させながら、最後に
「欠陥品」と切り捨てさせたのは、この作品全体に流れる「理論に合わないものをどう
扱うか」というテーマの縮図にしたかったからです。データは残っているのに、結論だけが
急いで閉じられる。この歪さを、感情的な否定ではなく、淡々とした処理として書いています。

 ラストの「消されていない。捨てられてもいない」という一文は、研究者自身の言葉では
なく、地の文からの視点で入れました。本人が気づいていない引っかかりを、読者にだけ
そっと渡しておきたかったからです。

 次でいよいよ3回目の返品、誰が返品するのかお楽しみに。

次回公開

9月26日21:00
第4話 安定しない杖

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