第29話 押すだけ

押すだけ 制作秘話

 前話の最後に投げっぱなしにした「絞る」問題を、今回はきっちり回収しています。
筋肉痛でリナが震えながら布を絞る冒頭は、前話からの地続き感を出すために必須で
した。魔法で華麗に解決するのではなく、板二枚と傾斜だけで解決させたのは、
メリアの発想が魔法頼みではないことを見せたかったからです。

 れもんが「板を二枚使って」「溝の角度も計算した方が」と設計を広げようとするのを、
メリアが「そこまでは、いい」と遮る場面は、このコンビの定番のやり取りですが、
今回は珍しくれもんに「せっかく考えたのに」と拗ねさせています。ここで少し感情を
見せることで、道具の説明が単なる技術解説で終わらないようにしています。

 板で挟んで体重をかけるだけ、というシンプルな構造にしたのは、
後々「誰でも作れる/作れない」の線引きをはっきりさせたかったからです。
「材料費、かかる」「木を選ぶ目も要る」というメリアの返しは、便利さと
再現性の限界を同時に示す一言のつもりです。

 女将が最後に登場して黙って試す場面は、リナの興奮を少し引いた視点で受け止める役と
して置きました。派手な発明シーンを、日常の延長として着地させる役目です。

「これ!洗濯革命やん!」というリナの台詞は、このシリーズのタイトルにもした一言です。
メリアに「大げさ」と即座に返させることで、盛り上がりすぎないよう温度を調整しています。

次回公開

8月29日21:00
第30話 乾きも早い

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