第7話 再び王都を目指す

再び王都を目指す 制作秘話

 前話の重さを引きずらない書き出しにしました。「誰も、振り返らない」の一文で、
村での一夜を引きずらないという姿勢そのものを、三人の態度として示しています。
説明も回想もなく、ただ進む。これがこのパーティーのやり方なのだと、地の文で
言い切ってしまう書き方を選びました。

とはいえ、何も変わっていないわけではありません。「沈黙が気まずくなくなっていた」と
いう一文だけで、関係の変化を示すつもりで書いています。会話の内容そのものより、
会話が途切れたときの空気の質で進展を測る、というのはこのパーティーらしいやり方だと
思っています。

聖峰アルケシオンの描写では、れもんに「空気遠近法」の説明をさせました。山が白く
霞んで見えるのは雪だけでなく距離のせいでもある、という前世知識を挟むことで、
「近づいているのに、まだ遠い」という今の三人の関係そのものを、景色に重ねています。
直接的な比喩にはせず、読みたい人だけが重ねて読める程度の距離感を意識しました。

ナディアが「楽しみです」と言い、レオンが「まだ着いてねえっての」と茶化す、
このテンポはこれまで通りです。ですが、メリアの「北の空気ですね」という観測的な
一言を、今回は孤立させず、れもんの補足とナディアの反応がきちんと連なるように
繋げました。噛み合わなさの中にも、受け取り方が少しずつ変わってきていることを、
会話の流れ方そのもので示したかったからです。

「完成していない関係のまま、少しずつ形を変えながら」という結びは、この章全体の
現在地を言葉にしたものです。王都はまだ見えない。けれど、方向だけは確かだという
一文で、次の展開への橋渡しにしています。

次回公開

10月31日21:00
第8話 王都カリデア

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