第3話 屈折の理論

屈折の理論 制作秘話

 今回は、メリアの説明下手を今まで以上に突き詰めた話です。

「屈折率を調整すれば、視覚情報は再構築できます」という最初の一言から、ナディアに
理解させる気がほぼありません。わざと不親切な説明の連続にすることで、噛み合わなさ
そのものをこの回の主役にしました。

 れもんの「スキャナーの原理」という喩えを、メリアが世界の科学水準を鑑みて、魔法に
準えた説明をした結果です。それをメリアが受け取りながらも、口では「水膜と風圧で層を
ずらすだけです」と削ぎ落として返す。この落差を書きたくて、今回はれもんの頭の中の
言葉を長めに、メリアの実際の発言を短めに、という配分を意識しました。

「それって、隠れているものも見えるんですか」という問いに「理論上は可能です」と
即答させたのは、今回いちばん踏み込んだ一言です。れもんが「実演済みだけどね」と
こっそり補足する部分で、メリアの能力がどこまで実用段階にあるか、読者にだけ先に
渡しています。レオンの「待て」で場の空気を一瞬締めつつ、メリアの「理論の話です」で
流させてしまう呼吸は、今後への含みとして残すつもりで書きました。

 ナディアが結局「分かった気になっている」で終わる締め方は、今回あえて解決させて
いません。れもんの「分かった気になれてるならそれでいい」という言葉に、メリアが内心で
同意する場面を置くことで、理解の深さより、楽しいと思える気持ちの方を今は優先して
いいのだと、三人の関係の今の段階を示したつもりです。

次回公開

10月17日21:00
第4話 透けて見える?

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